厄年日誌

私のライフワークブログです。途中まで学生時代の記事です。

アルコールの縮合重合

担当の化学工場で、反応工程以外の工程で意図せず、カルボン酸ナトリウム塩の存在下で加熱脱水するとアルコールの縮合重合が起こる(エーテルの高分子が出来る)。理由が分からない。

高校の参考書*1に、アルコールと濃硫酸(脱水剤)との反応ではアルコールが過剰で比較的低温ではエーテルが出来る、とある。濃硫酸の様な脱水剤でアルコールからエーテルが出来るのは分かったが、エステルを加水分解した後のカルボン酸ナトリウム塩存在下で出来る理由が分からない。因みに、カルボン酸ナトリウム塩が無い状態だと加熱脱水してもエーテルは出来ていない。

今回色々調べてみても理由は分からなかったが、カルボン酸ナトリウム塩が存在する事でアルコールの縮合重合が起こった事は事実なので、ずっと疑問として持っておこう。いつか理由が分かるかもしれないから。

*1 : 理系大学受験 化学Ⅰ・Ⅱの新研究 卜部吉庸著 2005年第6刷 p503

 

追記

たまたま高校生用の化学グランプリの問題*2を解いていると、濃硫酸によるエタノールの脱水機構の問題と解説があり、解説を読む事で上記の縮合重合現象を理解する事が出来た。解説では、下図の通りエタノールに水素イオンが結合して生成したエチルオキソニウムイオンと他のエタノール分子からの脱水反応により、ジエチルエーテルが生成するとあり、これと似た条件である部分を探すと、エタノールに結合する水素イオンに相当するものがカルボン酸ナトリウム塩のナトリウムイオンであり、脱水反応に相当するのが加熱脱水操作であった。要は、エーテルはアルコールが過剰にある状態で極性の強い陽イオンが存在しながら脱水操作を行うと出来るという事。重合するかはアルコールの種類によるが、エーテル生成のキーとなるのは"アルコールが多い事”と"極性の強い陽イオンの存在"と"脱水操作"である可能性がある事が分かった。

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エタノールの脱水反応機構

 *2 : 化学グランプリ 過去問題集(2017年版) p20-21

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