最後の”伝える力”
第七章 この言葉・表現は使わない
池上さんは文章力を高めようと思って、自分に課したことがあります。
それは、接続詞をなるべく使わないことです。「そして」「これから」の類です。
これらの接続詞が多い文章は、幼稚になりがちです。子供のころの作文を思い浮かべるとわかると思います。
《朝起きたら、天気が良かったです。眠かったけれども、我慢して布団から出ました。そして、手と顔を洗いました。そして、着替えをしました。それから、お母さんが作ってくれたご飯を食べました。おかずは、みそ汁と目玉焼きとお漬物でした。とてもおいしかったです。そして、・・・》
こんな調子です。
大人がこうした文章を書くようでは、仕事の能力を疑われてしまいますね。
本来、論理的であれば、「そして」「それから」は不要はずです。
上の小学生レベルの作文を、せめて中学生レベルにしてみましょう。
《目を覚ますと、今朝も快晴。眠い目をこすりながら、何とか布団から出ました。まずは手と顔を洗い、着替えをすれば、眠気もすっかり吹き飛びます。母が作ってくれたご飯を食べて、気力とともに体力も充実させよう。今朝のおかずは、みそ汁と目玉焼き、それに漬物と、至ってシンプル。でも、これがまたおいしかった。・・・》
いかがでしょうか。文章の論理が続いていれば、あるいは、時間の経過が明らかならば、「そして」や「それから」を使わなくても、スムーズな文章を書けることが分かると思います。
むしろ、接続詞を書かないようにきめると、接続詞がなくても論旨が通るように文章の論理を研ぎ澄まさなければなりません。この努力を続けていくと、論理的で読みやすい文章が書けるようになります。
できるだけ避けたほうがよい言葉はほかにもあります。
順接の「が」もその一つです。
次の文章はどうでしょうか。
1.今日はよい天気ですが、お元気でしょうか。
2.彼は仕事はできるが、スポーツもできる。
3.当店でお買い物いただきますと、お手持ちのカードにポイントが付きますが、
水曜日は二倍のポイントが付きます。
1は、天気が良いことと、相手が元気であるかどうかは、どういう関係にあるのでしょうか。
2.仕事ができることとスポーツができることとは、やはり対にならないでしょう。これはむしろ、彼は仕事ができるし、スポーツもできる。の方がしっくりきます。
3.「当店でお買い物いただきますと、お手持ちのカードにポイントが付きますが、水曜日は」とくるとポイントは付かないのかなと思ってしまいます。ところが、「二倍のポイントが付きます」と予想に反した言葉が続きます。これでは、相手に余計な神経を使わせます。
この「が」を使わないだけで、文章は格段に読みやすく、分かりやすくなります。
「ところで」「さて」も使いすぎない方がよいでしょう。論理の積み重ねの腰を折ってしまうからです。
「いずれにしても」「いずれにしましても」は、絶対に使ってはいけません。「いずれにしても」は、その直前まで書いていたことの論理に関係なく話を無理にまとめる行為です。場合によっては、それまでの論理の流れを否定しかねません。
最後の八章には、アウトプットには上質なインプットが必要であると述べており、
読書や落語を聞くと語彙が増すし、感性が豊かになる。
また、疑似体験が増え、あらゆるシチュエーションに対応できるようになると書いていました。
(だいぶ割愛しました、池上さんスミマセン(ペコリ))
この本の自分の解釈は、[[人に伝えるには理論上の流れが必要であり、それには客観的な自分が必要で、そうすることによってあらぬ誤解や問題を避けることができる]]というものになりました。
- 作者: 池上彰
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