人工光合成実現後の姿と課題
前回から引き続きメモです(下記の書籍*1)より)。
経産省とNEDOによる人工光合成プロジェクトでは、太陽光と光触媒による水分解で製造したH2とCO2から、化学原料であるエチレン・プロピレンなどの機関化学品を製造する化学プロセスの開発を目指しています。このプロジェクトでは開発課題を次の3つに分け、それぞれ大学や民間企業が中心となり協力して研究が進められています。
(1) 光触媒による水分解による水分解によるH2・O2その製造
(2)分離膜によるH2の安全な分離
(3)合成触媒によるH2とCO2からの低級(C2~C4)オレフィンの製造
クリーンなエネルギーとして期待されているH2ですが、低コストのH2を大量に供給できるかが最大の課題です。将来的に、化石燃料と同程度の価格(30円/Nm3)で水素を供給できなければ、実用化は難しいです。実用的な人工光合成プロセスの実現には、このH2価格の実現を見据えた効率やコストの改善が必要です。
*1)しくみ図解 光触媒が一番わかる 高島舞 大谷文章著 2019年第1刷 p20-22, 67