厄年日誌

私のライフワークブログです。途中まで学生時代の記事です。

芒硝と硫安について

化学工場の排水に含まれる事のある芒硝と硫安について、ここにメモをする。

 芒硝はIUPAC名で硫酸ナトリウム(sodium sulfate)であり、10水和物は芒硝(ぼうしょう)と呼ばれる。水酸化ナトリウムを硫酸で中和した溶液からは、硫酸ナトリウム10水和物の結晶が得られる。

NaOH + H2SO4  ->  Na2SO4 + 2H2O

硫酸ナトリウムの溶解度曲線は、下図のように32.4℃で折れ曲がっている*1。この点を転移点と呼び、32.4℃より低い温度では10分子の結晶水を持つ決勝Na2SO4・10H2O(比重1.46g/cm3, 単斜晶系)が析出するが、それより高い温度では無水物Na2SO4(比重2.66g/cm3, 斜方晶系)が析出する事を示す*2。硫酸ナトリウムは温泉に含有される場合のある物質としても知られている。

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芒硝溶解度(水)

*1)32.4℃までは、温度が上がると溶解度が増加するが、32.4℃を超えると、溶解度は減少していく。これは、水和物の溶解度が-56.0kJ(吸熱)であるのに対し、無水物の溶解熱が+2.34kJ(発熱)である為である。

*2)なぜなら高温では水分子の熱運動が激しくなり、Na+やSO4 2-がH2O分子を引き留めることが出来ないからである。

 

 硫安はIUPAC名で硫酸アンモニウム(ammonium sulfate)であり、化学式 (NH4)2SO4 で表される化合物。硫安とも呼ばれる。無色の結晶で、水に易溶。

2NH3 + 2H2O + H2SO4  ->  (NH4)2SO4 + 2H2O

硫安は水質汚濁の原因と考えられている*3。

*3)スキー場を集水域に持つ渓流に見られる窒素汚染

 

グラフ引用元 : 理系大学受験 化学Ⅰ・Ⅱの新研究 卜部吉庸著 2005年第6刷 p132